「技術系公務員」の未来~元公務員がこっそり教える公務員のリアルvol.26~

現場立会をする公務員の画像 公務員の仕事
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こんにちは、元公務員ttyです。

栃木県庁で5年、長野県庁で8年、計13年間を県職員(林業の技術職員)として働いていました。

いまは、ほかにやりたいことがあり、民間企業を経て独立起業しております。

(⇒ttyのプロフィールを見る)

今回は、「技術系公務員」の未来について、考えてみました。

「技術系公務員」の未来

1.技術職?

地方公務員の職種には「行政職」と呼ばれる職種と「技術職」と呼ばれる職種があります。

(1)行政職の職員

このうち「行政職」で採用された職員は、内部では「事務屋さん」などとも呼称されることもありますが、いわゆる「なんでも屋さん」です。

去年まで、福祉系の仕事をしていたんだけど・・・今年からは、異動(転勤)して農業系です。とか仕事の分野の関係なく、幅広く様々な仕事を経験します。

その仕事をする上で必要な法令など、一般的な知識を広く浅く、しかも素早く身に着けることが必要となります。

ちなみに某N県では、「事務屋さんは、最低でも2カ月以内に新しい仕事を覚える必要がある。」・・・という誰が作ったかわからない暗黙のルールが囁かれています。

(2)技術職の職員(職人?・・・ではない!)

行政職以外の技術的な専門知識をもった職員といったところでしょうか。

某N県を例にしますと「社会福祉」「電気」「機械」「化学」「農業」「水産」「総合土木」「建築」「林業」「薬剤師」「保健師」「管理栄養士」など12種類あります。(某N県採用試験(大学卒業程度)平成31年4月採用 受験案内 より)

内部では「技術屋さん」などとも呼称されることがあります。

行政職と比較して、原則として限られた部署にしか配属されません。

(例:某N県の林業職)

現地機関・・・地域振興局林務課、林業総合センター、林業大学校など

本庁・・・林務部局(森林政策課、森林づくり推進課、信州の木活用課など)

 2 AIの導入や技術の革新の影響

私は、山地の災害の復旧などの公共工事の監理の仕事をしていたことがありましたので、例として、公共工事の業務を挙げたいと思います。

具体的には、林道という森林整備や林業のための道を作ったり直したりする工事、山地災害の復旧のためのダムを作ったり、緑化をする工事などの設計・積算・現場監督をしていました。

設計は、民間の建設コンサルタントへの外注がメインであり、規模の小さい工事などでは、自前で測量・調査・設計までやっていました。

その後、設計した工事費用を積算し、入札。

落札した建設業者が工事を進めるわけですが、工事の完成までに必要な立ち合いや試験などの現場監督業務、設計変更、予算管理等の現場監理を行います。

測量設計

測量・設計は、現在でもアウトソーシングしていますが、ドローンなどで迅速で、精度の高い調査がすでに可能です。

設計は、人間の判断による部分は大きいものの、ある程度セオリーがあり、過去のデータや技術基準のデータが適切に処理できれば、AIによる基本的な設計&人間の最終チェックで迅速にできるのではないかと思います。

これらの業務はコストもどんどん安くなると思われます。

工事費用の積算

また、積算なども、積算システムなどでの集計・計算はすでに導入されていますが、

かなり複雑な計算や様々な基準を参照しているので、勉強しないと、さっぱりわからないような仕事です。

しかし、過去のパターンや積算基準などのデータを学習したAIで、精度の高い積算が可能になると思われます。

将来的には、最終チェックだけ人間、というパターンでいけそうです。

現場監理(現場監督など)

現場に臨場している立会なども、5G回線などの高速通信で、動画で可能になるように思えます。

現場までの移動などが短縮できれば、一人で多くの現場を担当することが可能になると思われます。

予算調整など、人を介するものは、一部残るかもしれません。

技術的な判断は、過去に実際に経験した現場などから、検討するなど一概に基準書にあっているかといった、判断だけをしているではありません。

しかし、過去の事例なども含め、全て適切にデータベースとして機能すれば、AIが判定したり、提案することも可能ではないかと思います。

長野県などでは、すでに、積算関係はAIの導入実験をしているようです。

 3 技術系の仕事の未来は?

一般的な事務の方が一見すると、ルーチンワークであり、簡単に機械化するようにも思われがちです。

しかし「事務」という言葉が誤解をうみやすいのですが、

どちらかと言えば、行政の「事務」の本質は、生活に係る様々な事項の「答えのない答え」を探す、調整のような仕事がメインです。

本当にルーチンな業務以外は、人間が介する余地はまだ残るのではないかと思っています。

むしろ、技術的な問題を取り扱う職種こそ、アウトソーシングや機械化が進みやすいのではないかと考えています。

また、行政組織は行政職員の割合が最も多く、「事務屋さん」が中核をなす組織です。

そのため、組織的にみて、人員などの優先順位は行政職員であることは明白です。

その証拠に、技術系部署のトップである「部長」職も、徐々に行政職員の割合が増えていっています。

技術系の職種は、必要な仕事であることは間違いないですが、

将来的には技術系の職員の役割と人員が限定的になっていく可能性は大いにあると思います。

これから公務員を目指す方、転職をお考えの方などに、少しでも参考になればうれしいです。

今回も、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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