こんにちは、元地方公務員ttyです。
今回は、地方公務員(県職員・林業)の仕事内容について書きたいと思います。
私もそうだったのですが、
公務員の仕事って、イメージしにくい。
なんとなく書類が多そうだけど、実際どんなことをやっているのか。
募集パンフレットに書いてあることは本当なのかな?
とか、先輩職員は、公の場で本当のことを言っているのか?
どんなことでも考えだしたら、きりがありません。
それこそ実際のところはやってみないとわからないものです。
1.行政職?技術職?
地方公務員の職種には「行政職」と呼ばれる職種と「技術職」と呼ばれる職種があります。
(1)行政職の職員
このうち「行政職」で採用された職員は、内部では「事務屋さん」などとも呼称されることもありますが、いわゆる「なんでも屋さん」です。
去年まで、福祉系の仕事をしていたんだけど・・・今年からは、異動(転勤)して農業系です。とか仕事の分野の関係なく、幅広く様々な仕事を経験します。
その仕事をする上で必要な法令など、一般的な知識を広く浅く、しかも素早く身に着けることが必要となります。
ちなみに某N県では、「事務屋さんは、最低でも2カ月以内に新しい仕事を覚える必要がある。」・・・という誰が作ったかわからない暗黙のルールが囁かれています。
でも心配することはありません。法律の読み方、や事務処理の体系など共通する部分も多く、異動(転勤)を繰り返すうちに、「新しいことを吸収すること」に長けていき、慣れるのが早くなります(人に聞くのもうまくなりますね・・・。)
(2)技術職の職員(職人?・・・ではない!)
行政職以外の技術的な専門知識をもった職員といったところでしょうか。
某N県を例にしますと「社会福祉」「電気」「機械」「化学」「農業」「水産」「総合土木」「建築」「林業」「薬剤師」「保健師」「管理栄養士」など12種類あります。(某N県採用試験(大学卒業程度)平成31年4月採用 受験案内 より)
内部では「技術屋さん」などとも呼称されることがあります。
行政職と比較して、原則として限られた部署にしか配属されません。
(例:某N県の林業職)
現地機関・・・地域振興局林務課、林業総合センター、林業大学校など
本庁・・・林務部局(森林政策課、森林づくり推進課、信州の木活用課など)
2.林業系職員の仕事
林業系の仕事内容です。
これは本当に世間的に誤解も多く、私もよく友人とあったときに、
「いつも森林の見回りをしているの?」とか「毎日木を植えているの?」とか聞かれることも多々ありました。
正解でもあって間違いでもあると思います。
県で担当している森林は、「民有林」といいます。「民有林」とか「国有林」という区分は、森林法第2条により規定されていいます。
ざっくりと言えば
・国が所有者である森林=国有林
・それ以外の森林=民有林
県が所有している森林(県有林)は民有林ですが、自分で所有している森林を巡回することはあります。
しかし、民有林のほとんどは私有林(個人でもっている森林)なので、特別な理由もなく巡回することはありません。
また、県の仕事として有林の植樹をしたりするケースもあれば、保安林*1であれば、県の仕事として植樹する場合もありますが、どちらの場合も自ら植えるというよりは、企画をして、アウトソーシングで外注することになります。
技術系職員全般に言えると思いますがここでいう「技術」とは、実際に現場で作業を行う技術ではありません。
「技術」的な理論をもって判断する能力のことです。
技術系職員の仕事の特徴は、技術的な理論・裏付けをもって、県の施策をあるべき方向へ導くとともに適正に運用することです。
少し具体的に見てみましょう。
(例1)森林の間伐をする
森林の所有者さんが森林組合に手入れが遅れた森林の間伐を依頼しました。森林組合は間伐を実施し、県に補助金の申請をしました。
この場合、県の職員は現地調査や書類などをチェック。補助金を出してもいいか、技術的知見から審査することになります。
(例2)山地災害の復旧工事
台風により、保安林※1になっている山地の土砂崩れが発生し、道路が通行止めになりました。
この場合、道路の土砂は道路管理者(市町村や県の道路部局)が担当します。
そして保安林など公益性の高い森林の復旧工事を県林務部局で行うことになります。
現地の測量・設計を行い、現場の監督を行うことが仕事になります。
県職員は、実際に現場の作業をおこなうわけではなく、測量・設計は民間のコンサルタント会社、工事は民間の建設業者が県と契約し行うことになります(小さい工事などは自分で測量・設計することもあります。)
県の職員は、測量・設計の妥当性を技術的知見からチェックし、審査をします。建設工事においても同様に、現場の立会で段階的に品質など確認する・変更設計が必要であればその判断をすることが仕事になります。
この2例のように、技術をもって現場で作業するというよりは、実際に現場でやっている、又はやろうとしていることに対して技術的論理をもって判断していくことが仕事のメインとなります。
3.交流人事や国・民間などへの出向もある!
前述のとおり、技術職の場合は、比較的限定的な仕事を専門に行う傾向があります。
そのため、異動(転勤)の範囲は限定的ですが、例外として
他の部局(環境部局、建設部局)へ交流人事として異動する場合があります。
また、国の機関である林野庁や環境省、あるいは市町村へ出向する場合もあります。
技術職ではあまりありませんが、行政職であれば民間への出向もあります。
本人の希望であったり、なかったりケースバイケースです。
一般的には3~4年サイクルの異動ですが、この場合は長くとも2年程度になります。
※出向については、某N県の場合。
今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
*1:森林法25条により指定された、とくに公益性の高い森林。伐採限度や方法、土地の形質の変更などが普通の森林より制限されることが多い。
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