行政の「指導」の言うことはきかなくてもいいって本当?「行政指導」のホンネ~元公務員がこっそり教える公務員のリアルvol.44~

行政指導の画像 公務員の仕事
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こんにちは、元公務員ttyです。

栃木県庁で5年、長野県庁で8年、計13年間を県職員(林業の技術職員)として働いていました。

いまは、ほかにやりたいことがあり、民間企業を経て独立起業しております。

(⇒ttyのプロフィールを見る)

今回は、 「行政指導」について、書いてみました。

行政の「指導」の言うことはきかなくてもいいって本当?「行政指導」のホンネ

そっぽむかれる人の画像

行政の「指導」には拘束力がない

報道などでよく見受けられる言葉で、〇〇局からの「指導」を受けて・・・とか

「指導」という表現があります。

この多くは「行政指導」に分類されるものだと思われます。

法令などに基づく、強制力のある命令などは「行政処分」と呼ばれます。

「行政指導」には拘束力がありません。

あくまで、行政目的のために任意の協力をお願いしているにすぎません。

不服であれば従う義務はありませんし、当然、処分することもできません。

裁判所からでる逮捕状などはありませんが、任意で同行し、お話をお聞かせ願いますか?という「任意同行」に似ています。

自由の女神の画像

 どういう場合に使われる?

例えば、法律などで規制はしていないが、制度の目的からして、その方が望ましいという場合や、

開発の許可などで、地域住民の同意は、法律で規制していないけれども、考慮してほしいといったお願いを行政指導という形で行う場合もあります。

あるいは、相手方に何等かの不備があり、命令、不許可などの「行政処分」を出す前段階として、行政指導を行い、あくまで自主的に、なんらかの是正措置をとってもらう場合もあります。

何でそんなまどろっこしいことをするかというと、「行政処分」が一旦発動してしまうと、相手が従わない場合、

命令⇒告発⇒行政代執行(行政が違反者のかわりに執行して代金を請求)といった、裁判沙汰まで行ってしまうからです。

行政側も「振り上げた拳が下げられない」状態になり、多大な労力を要するからです。

「いま従えば、命令まではしない。穏便に済ませますよ。」ということです。

行政処分の前に行政指導を挟むのが一般的です。

 行政指導のホンネ

シビアであった許認可業務

圧力をかける人の画像

私が現役の職員であった頃、森林の開発の許可関係の仕事をしていることがありました。

開発事業者さんとのやりとりは結構シビアであり、開発計画などについて、打ち合わせをする際に、「それは義務ですか?任意ですか?」という質問が必ずありました。

当然、申請者としては、あくまでビジネスなので、費用の伴う計画変更や申請スケジュールなどにはとてもシビアであり、重要な事項だと思います。

正直、その質問が一番嫌だったのですが、実は、これはとても重要な視点です。

行政機関とのやりとりにおいては、双方が、どこまでが法令に基づく義務であり、どこまでが任意事項なのかを明確にすることで、真に公平な議論ができるからです。

しかし、ほとんどの行政側では、あちらから「これは行政指導なので、義務ではありませんが・・・」といった説明があることはほとんどなく、

義務であることと、任意であることが一緒にされ、説明を受ける場合が多いと思います。

その方が、行政側にとって都合がいい方に誘導できるからです。

しかし、本当にシビアなやりとりでは、これらの点は明らかにしていないと、最悪、訴訟のような問題に発展する場合もあり、「義務ではない。」「義務である。」という線引きにかなり注意を払って発言していました。

権限の範囲を勘違いしている職員が多い

ルールブックの画像

さらに、行政組織では、ほとんどの場合、法令に基づく事務処理の内規としての、「要領(ようりょう)」とか「要綱(ようこう)」という内部の事務処理ルールを設けています。

これらも、一見法律に準ずるものに思えますが、

実際の裁判においては、要綱や要領などで法律が規定している内容以上のものを求めている場合、それはほとんどが「行政指導」の範囲であるとう判決が多いです。

すなわち「任意事項」扱いであるという判断がされ、法律以上のものを求めた結果の不許可などは、要綱・要領に基づいていても違法だということになります。

行政の仕事をしている人は「要綱・要領」は絶対であり、基づいていれば、絶対に正しいと勘違いしている人が多数います。

これらの事実を認識しながら、仕事をしている職員はベテランの職員でもあまりいないように思います。

内部のルールに基づいていれば基本的には正しいとされ、行政の「指導」に従う人がばかりを相手にしていれば、そもそも、学習する機会がありません。

どこまでが権限でどこまでが任意のお願いなのか、理解した上で、その権力は正しく公平に行使する必要があります。

協力している人たちの画像

これから公務員を目指す方、転職などを考えている方の少しでも参考になればうれしいです。

今回も、最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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