「公務員の不正にどう向き合うか」という話 vol86

不正の画像 公務員の仕事
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こんにちは、ttyです。

栃木県庁と長野県庁で計13年間を県職員(林業(林学)の技術職員)として働いていました元公務員です。

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報道がやや偏向している可能性もありますが、「公務員の不正」について報道などでみかけることがあります。

何故発生するのか?
自分の身近で発生した場合どうすればいいのか?

といったことを、経験も踏まえお伝えしたいと思います。

不正は何故発生してしまうのか?

組織的な「病気」という側面

不正、いわゆる不適切な処理ということですが・・・・

様々なケースがあるものの、大きくわけて2種類あると思います。

①個人的な利益のための不正
②組織の体面を保つための不正

①については、贈収賄、官製談合など犯罪に類するものが多く、公務員という立場を利用して個人的に金銭などの利益を得ようとするものであり、論外だと思います。
公務員だからという問題でもありません・・・。

一方、②については、体面を重んじる組織風土が創り出している、「組織の病気」のような側面があると考えています。

ごく、普通の職員が、上司や組織を忖度して、不正に加担してしまう可能性があることがとても怖く感じています。

予算の構造が生み出す病気

仕事に疲れた人の画像

不適切な会計処理、支出という、不正が多く見られます。

何らかの理由で、必要以上に多く支出してしまっていたり、支出の算定方法が間違っている、契約相手が適切でない、非効率的な使い方をしている・・・・などなどです。

職員の勉強不足などによる事務処理のミスもあると思いますが、予算を使うために行っているケースも見受けられます。

行政には、「単年度予算主義」という予算の考え方があります。

その年度(4月1日から翌年3月31日まで)、の予算はその年に使うという考え方です。

やむを得ず繰越などが発生する場合もありますが、基本的には、単年度で消化します。

家計などであれば、余れば、「こんなに余った~」と喜んで、貯金しておきますが、
行政では、「予算使い切らないといけない。」という考え方が今でも蔓延しています。

実際には返すこともできますが、事務処理が複雑化し労力がかかるとともに、
「必要だからこれだけ要求し、議会でも承認された」というタテマエが強く、

「返すからには、相当の理由があるんだろうな!」
「要求したんだから、使い切って当たり前だ!」

というプレッシャーを、上司、やとりまとめをしている本庁部局、あるいは補助金を支出している国などから、かけられます。

実際に、国からの補助金の調整する場面などに行くと、
国の役人から、「〇〇県さんは、使い切ってくれて優秀だから、来年度も要求どおり予算つけるようにします。」
ということを露骨に言われることもありました。

実際に予算の要求のときの見積もりが甘いともいえるのかもしれませんが、実施の段階で差額が出ることはある意味では当然であり、ほぼピッタリに収まる方がどちらかと言えば不自然です。
不正とまではいかなくとも、使うことを目的としている側面があることは否めません。

しかし、当時の私も含め、ほとんどの職員は、予算を返還すること、使い切れないことは、優秀な職員ではないという認識をもっていました。

このような構造からは、節約して余らせようとする意識は薄いことはもちろんのこと、
最悪の場合、無理矢理使い切ろうとするようなことすら起こり得る構造です。

予算消化について「そのような事実はない」と公式には決して認めないとは思いますが、構造が生み出す組織の病気だと思います。

予算消化のための不正がいつ起こってもおかしくはない構造、漢方で言えば、病気になる直前「未病(みびょう)」といったところでしょうか。

自分の身の回りで発生した場合はどうすればいいか?

では、身近なところで不正があった場合はどうすればいいでしょうか?

結論から言えば、不正には加担しない方が絶対にいいと思います。

当たり前だ!と思うかもしれませんが、
組織の中にいると感覚がマヒしてきて「必要悪」のような感覚に陥りやすいためです。

前任者からずっとそうだったこと、仮に上司からのプレッシャーをかけられたとしても、
いざ、問題が発覚したら、誰も守ってくれません。
命令したことすら認めないかもしれません。

法的にも、たとえ上司の命令に従っても、個人の責任は問われることになります。

まして、組織の体面を重んじる組織は、個人を守ってはくれません。

私が在職中に、補助金の支出に関して、大きな不正事件がありました。
私が直接かかわったことはありませんが、実態調査等には協力していました。

ある時、調査をしていた際に、当時の調査の中心人物に「ttyくんなら、どうしてた」と聞かれたことがあります。

私は、「私なら、その仕事は命令されても決してやりません。そして、その担当からは外されるでしょう。」と答えました。

そうしたら、笑って、蕎麦をおごってくれました。

その方は、私が辞める1年前に辞めたのですが、私とは何か通じるものがありました。

まとめ

「公務員だから、そんなこと言えるんだ。民間なら上司の命令に逆らったらクビになる。」という人もいるかもしれませんが、

公務員でも民間企業でも同じことです。

上司や組織から求められたことをやっても、個人の責任は消えることはありません。
最悪、責任をなすりつけられることすら考えられます。

公務員でも民間でも、不正に加担しなかったことで、クビにすることなどできません。

自分の身を守るのは自分です。

「そんなきれいごとではできない。」とい人もいるかもしれませんが、

物が溢れている現在のビジネスではむしろ「きれいごと」に魅力を感じてもらえなければ、物を買ってもらえませんし、短期的にごまかしても、売れ続けることはありません。

持続可能な信頼される仕事を展開するためには、「きれいごと」はとても大切です。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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