公務員が書く文書はどうしてあんなにわかりにくいのか??~お役所コトバの不思議~ vol.73

疑問をもつ人の画像 公務員の仕事
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こんにちは、ttyです。

栃木県庁で5年、長野県庁で8年、計13年間を県職員(林業(林学)の技術職員)として働いていました元公務員です。

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※随時更新いたします。

「役所の文書って、理解しにくい。」

「堅苦しすぎる」

など、行政の作成する文書は、往々にして、評判が良くありません。

私は、前職が公務員だったので、

正直、「そんなもんだ。」という感覚でした。

でも、たしかに冷静にみると、なんとわかりにくいことか・・・。

しかも、文書作成は公務員の職場では、ものすごくたくさん行われている仕事の一つです。

たくさんやっている仕事なのに、わかりにくいものを量産している・・・・。

どうしてこうなってしまうのでしょうか?

私の経験も踏まえまして、考えてみました。

公務員が書く文書はどうしてあんなにわかりにくいのか??~お役所コトバの不思議~

独特な「お役所コトバ」

文書の画像

「お役所言葉」とは、行政機関で用いられる文書で使われることの多い独特の言葉のことです。

お役所言葉(おやくしょことば)とは日本の行政で用いられる公文書、法律、条例などに特有の表現スタイルで書かれた文章を批判的な意味で捉えたものである。

出典: フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』お役所言葉 – Wikipedia

具体的にあげると・・・・

「前向きに検討」→(訳)何もしません。

「真摯に対応する」→(訳)難しい顔してやってるフリします。

「総合的に判断し」→(訳)政治家や権力者に気を使って忖度しながら・・・

「ご配慮願いたい」→(訳)しっかりやってくれって一応いっておく。あとで責任とりたくないから。

などのコトバです。

ちょっと言い過ぎましたが・・・

全般的にみて

「日本語としては正確で間違いはないが、結局、何がいいたいのかわからない」

という特徴があります。

文章、文書、言葉は読み手に意味を伝えることが本来の目的です。

何故、そうなってしまうのでしょうか?

分かりやすさよりも、「過不足なし」が優先される独特な世界

大量の書類にハンコを押す人の画像

行政機関には「文書規程」などといった、独自のルールがあります。

それを少し、わかりやすくしたマニュアルのようなものがあることも多いです。

長野県庁では「文書事務の手引き」という分厚い冊子でした。

文書の種類、保存期間をはじめ、言い回しや文例なども掲載されています。

職員は、これらのマニュアルや前例の文書をもとに、文書を作成します。

このため、皆同じような文体や表現になります。

「できるだけわかりやすい表現にすること」ということもマニュアルには書かれているものの、

それは一体どういうものなのかは具体的に示されていないため、

結局、前例を踏襲してしまいます。

また、実際に、文書を作成、内部のチェックを受けて上司に決裁をもらう過程では、

  • 誰がどうみても同じ意味になる(誤解や外部からのツッコミがないか)
  • 余計なことが書かれていないか(親切にわかりやすくしようとして、余計なことを言い過ぎてないか)
  • 前例があるか

といった、

「表現の正確さ」や「組織を守ること」が最優先されてしまいます。

「わかりやすさ」は二の次になります。

「等」が多用されるのも、言い切ってしまうと、例外が一つでも発生すると、正確な文書ではなくなってしまうためです。

一つの文脈に「等」が何十個も出てきてしまうのはこのような理由があるのです。

また、意味に絶対に誤解の無いように表現しようとすると、どうしても回りくどい表現になりがちです。

同じような現象は、裁判所の判決文や学術論文などにも見受けられます。

裁判所の判決文は、一つの文が、数百文字にわたることもざらであり、

何度も読み返さなければ容易には理解できません。

マニュアル通りにやっているから・・・とか、考えずにやっているからではなく、

実は、職場環境で求められていることを忠実に実践しているだけなのです。

国はもっとヒドイ・・・

古文書の画像
国の行政機関から出される文書などは、地方自治体に輪をかけてヒドイように思えます。

まず、

あて名が「〇〇殿」です。

江戸時代ですか?

かつては、地方自治体も「殿」でしたが、現在は、「〇〇様」という表現になっています。

また、独特の表現として、末尾が「~されたい。」という謎の日本語も多く使われます。

例えば、

「〇〇事業の執行にあたり、遺憾のないよう、ご配意されたい。」

(訳)〇〇事業をしっかりと実行してください(・・・って国は言ったからな。あとは県責任だからな。)

という使い方になります・・・。

まとめ

行政の仕事というやや特殊な組織の性質もあり、

これまでは、なかなか改善されてきていませんでした。

しかし、近年は、佐賀県庁、滋賀県庁など

行政文書をわかりやすいものにするために、本格的に、マニュアルを整備しなおしている行政機関も見受けられます。

(改善の例)

諸般の事情に鑑み → 様々な事情を考えて

貴殿にあっては → あなたの場合は

書類を返戻します。 → 書類をお返しします。

(「役所ことば改善の手引き」滋賀県より抜粋)

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/16329.pdf

これらを見て見ると、

わかりやすさと行政の目的が達成できる文書作成は、両立できるのではないかと、

思わずにはいられませんでした。

今後は、これらの先進的な自治体などの取り組みが、主流になるのではないででょうか。

これから、学校を卒業し公務員試験を受ける方、公務員への転職をお考えの方の少しでも参考になればうれしいです。

今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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