「災害現場」公務員はただ「見に行っているだけ」なのか? vol91

土石流の画像 公務員の仕事
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こんにちは、ttyです。

栃木県庁と長野県庁で計13年間を県職員(林業(林学)の技術職員)として働いていました元公務員です。

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台風などによる気象災害の時

行政の職員は、担当業務により何等かの仕事をしています。

私は、林業の技術系の職員として山地災害の復旧等を長く担当していました。

そんな経験を踏まえ、実際にどういうことが起きているのか書いてみました。

山が崩れた!どうする?

災害って・・?

台風や梅雨前線などの豪雨により、山が崩れる現象自体は、「自然現象」です。

長い間そのような現象を繰り返し、現在の地形ができてきました。

しかし、山崩れにより、人家や公共施設などに影響が出た場合、または及ぼす恐れのある場合、それは「災害」と呼ばれます。

崩れたら何でもかんでも治すわけではない

たとえ山崩れがあっても、何でもかんでも治すわけではありません。

前述のとおり「自然現象」です。

公共の資本を使って、山を治すためには、
「保全対象」と呼ばれる人家や公共施設(道路含む)があること、山林が森林法に規定される「保安林」(ほあんりん)に指定されている必要があります。

※森林法に規定される「治山事業」の場合

保安林とは、特に公益性の高い機能をもつ森林として、都道府県知事又は、農林水産大臣が指定する森林です。

このように、行政が税収等からなる予算を使うためには、「公益性」の根拠が必ず必要になります。
これは、ほかの分野の事業でも同様です。

公益性が認められた場合は県や国の予算で復旧工事

前述の「公益性」が認められる場合、県や国の予算をにより、復旧工事が行われます。

土石流防止のダムや、崩れるのを留める擁壁、緑化、植林などが施されます。

土砂の撤去など、応急措置は、市町村や公共施設の管理者(道路など)が行うことが多いですが、その後の復旧工事は、県が主導して行うことになります。

(土石流対策のダム建設中の状況)

災害調査は「見に行くだけ?」

県職員はどんなことをやっているのか

市町村などから災害の連絡を受けて、県職員は現場に直行します。

1つの台風などで、災害が複数個所発生することもあり、手分けして、調査することも少なくありません。

一度に全て把握できるわけではないので、現場にいる途中や帰ってきてから、また別の連絡を受けて、急行することも多々あります。

この段階では、状況の把握が優先され、測量などを行っている時間はありません。

災害の規模や発生原因を歩いて確認しながら、対策工法や被害額、工事金額なども、判断し、報告します。

このように「見ただけ」でそれを判断しなくてはならないので、経験がないうちは、本当に大変でした。

遅くともその日の午後までには、本庁へ報告しなくてはならないので、忙しいです。

事情を知らない人からは、「県職員なんて、見に来ているだけじゃないか!」と言われることもありますが・・・・

「見ただけ」で「短時間で」、「金額、工法などを含めた調査報告」をする難しさは半端ないです・・・

(災害直後の現場、二次災害の危険性もあるため慎重に調査をします。)

予算措置がされる見込みが立てば、測量と計画書作成

前述の概略調査をもとに、国の補助事業でできるか、県の単独事業でできるか、などの対応策が検討されます。

予算措置の見込みが立てば、予算をとるための、「計画書」などの予算資料の作成が始まります。

県の単独予算で行われる場合は、ざっくりした資料でOKですが、
国の補助事業の場合は、現地あらためて測量し、精度の高い資料などが必要になります。

近年は、林務部協でも県の予算でこの測量設計が外部委託してできるようになりましたが(長野県の場合)、以前は、職員が自前でやっていたため、測量だけでも毎日大忙しでした・・・・

平行して、用地の交渉などを行い、土地の所有者の承諾を得たり、地元の説明会などを行います。

しかも、20日くらいで、本庁審査を得て、国へ提出、審査を受けなくてはならないので、大変です。

予算が措置されれば、工事の発注と現場監督

バタバタと計画書などの予算資料を作り、国の審査を受け問題なければ、予算措置がされます。

工事の「設計積算」※1などを行い、入札を得て、受注した建設会社が工事を行います。

工事の立会いや設計の変更などの「現場監督業」が始まり、工事が終われば、検査を受けて、終了となります。

細かく言えば、さらにその後、緑化がしっかりと行われているかなどのフォローアップなどもあります・・・・。

※1:工事で建設される工作物などの構造を図面にし、数量を算出する。さらに工事費用を計算し見積もる作業。この金額を基準にして、入札が行われる。

まとめ

災害対応は、通常業務に上乗せされた仕事になるので、そういう意味でも忙しくなりますし、もともと災害を想定した余剰の人員はもちろん確保されていません。

台風時期になると、いつもドキドキしていました。

正直なところ、ここまで一生懸命やっても、住民の方などに感謝されることは、正直あまり経験がありません。

人によっては「税金払っているんだから当たり前!」という意識もあるのかもしれません・・・・。

しかし、時々は感謝の言葉をもらえることもありました。

「直接のやりがい」を感じた、数少ない(?)想い出です。

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今回も最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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